あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
まおの考えていることを感じ取れるシュガーはその時のことは感じ取れなかったため、何が起こっているのか知らない。
「なぜ、まおは姫と出会ったことで防御結界を張ったのか、だな……」
姫が何を言えば、まおは自分の命を削ってまで防御結界を張ろうとしたのだろうか。
「……まおに何と言ったかは姫は教えてはくれなかった。 姫は魔力を持たぬオスガリアの人間だ。 防御結界という言葉すら知らないだろう。 でも、何かしらまおをそう仕向けさせたのは、他でもない彼女だ」
まお……すまない。
きっと、この前の夜、そのことを考えていたのだろう?
気づけなくて……本当に、すまない……!
ただ、後悔だけが、胸を支配していく。
どうして俺は……こんなにも無力なのだろう……。
うつむいていると、隣で同じようにしていたシュガーが突然顔を上げた。
「シュガー、どこへ」
「オスガリアだよ!」
「は?」
「あの、ワガママ姫、ぶっとばしてくる‼︎」
目が血走り、力を込めた拳は、魔力がパチパチと火花を散らすくらい高められていて、本当にそうしてしまいそうだ。
「っ! 待て! まだ待つんだ!」
「止めるな!」
「行くなと言ってるわけじゃない! 今はまだ、“待て”と言っているんだ」
口角を上げてみせると、シュガーは不思議そうな顔をした。