あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。


「俺が鈍い?」


シュガーの言葉が理解できなくて首を傾げれば、それを見た彼は顔を歪めて机を叩いた。


「ほんとにこんなやつでいいのかよ、まお」


またなにかを呟くけれど、俺の耳には届かない。


「まあ、それはいいや。理由はまおに直接聞け」

「そのつもりだ」

「……その前に一つ確認したい」

「なんだ?」

「お前まおのこと……好きだろ?」

「ぶっ!」

「汚っ!」

 
 シュガーがヘンなことを急に言うから吹いてしまった。


大きなリアクションを取ってしまったことで余計にそれを肯定しているようだ。


「……だろ?」


 シュガーがツリ目の青の目で、俺を睨む。


心の中を、見透かされた気がした。

 
「……ああ」


 その視線の鋭さに、素直に頷いた。


「だったら、ぜってぇローズ姫とやらとは結婚すんじゃねぇぞ」

「……なんでお前がそんなことを言う」


これは俺の気持ちで、まおがどうかわからない。


それでももし、まおに断られたとしても、姫を選ぶという選択肢は、もう俺の中にはなかった。


「俺は元から姫を選ぶつもりは」

「……まおには、お前しかいねぇからだよ!」


 俺の言葉に被せるように突然シュガーは声を荒げた。

 
 その言葉に黙ってしまった。


 でも、俺しかいないって……?


「まおはこちらの世界に何も知らずに連れてこられた……そんな中で本当の意味で信頼して、安心できる相手は、お前だけなんだよ……」



シュガーの声は、か細くて、うまく聞き取れない。


まおには俺しかいないって、どういうことだ?



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