あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
14 決断
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訓練を終え、お風呂に入り髪を乾かし終わったときだった。
「あれ?」
なにか違和感を感じる。
「シュガー?」
シュガーといつも繋がっている、魔力の幾つもの糸のような絆が、感じ取れないのだ。
とたんに不安が胸を過ぎる。
なにか、ある。
そして、誰かがいる。
突然焦りが込み上げてきて、お風呂でさっぱりしたばかりの背に汗がジワリと滲む。
シュガーを、探そう。
イヤな予感がする。
あたしは、髪を拭いていたタオルをベッドに投げ、部屋を後にする。
廊下を歩きながら、小さな魔法陣を呼び寄せ、熱風を起こして髪を一瞬で乾かした。
最近、カカオと会えていない。
オスガリアの姫の相手をしているらしい。
醜い嫉妬が胸を渦巻く。
痛む胸を押さえるように、胸元の服を握りしめた。
なにいっちょ前にヤキモチなんか、妬いているんだろう。
あたしは単なる魔女。
相手は、帝国のお姫さま。
身分が違いすぎる。