あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「……俺だって……」
「え?」
「俺だってまおのそばにまだいたいんだぞ? でも、これ以上一緒にいると……」
カカオ?
なんで顔赤くなってるの?
「なにをしてしまうか、わからないから……」
「っ!」
そ、それは!
顔に、火が付いたかと思った。
なんてこと言うのよ、カカオ!
あたし、そんなつもりで言ったわけじゃ……!
恥ずかしさのあまり体温が急上昇し、布団をぎゅっと握りしめる。
すると、ふわりと身体を大きくて暖かな体温が包み込んだ。
「からかったわけではないんだ。 すまない」
耳もとで紡がれる言葉がくすぐったくて僅かに身動ぎをすると、さらにきつく締め付けられた。
「この戦いが終わったら……俺は王となる。 俺に力を貸してくれ。 魔女としても、想いが通じた者としても……」
その声は優しくて。
甘く、とろけていく。
『想いが通じた者』
あたしたちは、そういった関係になれたのかな。
腕を緩め、正面から向き合うと夏の空色の瞳が強くこちらを見つめていた。
「この戦いが終わった時、戴冠式を行う。 傷つく事なく、この戦いを終わらせる」
「うん」
「無事に、この国に戻ってくるんだ」
「約束」
「ああ」
どちらともなく、瞼を閉じて再び唇が重なった。