あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
第五章
15 ふたりの力と、姫の策略
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──ついにきた。
あたしたちの目の前に広がるのは、環境が破壊されつくしたオスガリア。
その奥には、霧をまたいでぼんやりと、城がたたずんでいるのが見える。
横で、馬の蹄の音が高く鳴る。
「準備は大丈夫か?」
声の主は、黒い馬のボルトに跨がったウェズリアの王子、カカオ。
彼は、青い瞳を爛々と輝かせている。
「誰も、いないな」
「住民はみな、まだ生きていける森の奥地へと逃げ込んだらしいよ」
「……行こう」
あたしは、シュガーを変化させた箒に横座りで座ると、ふわりと浮かびあがった。
カカオが、ボルトの手綱を締める。
ボルトがゆっくりと加速し始めた。
あたしたちは、宮殿を目指し、進みはじめた。