あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
第一章
01 魔方陣現れましたけど!?
「ふんふふんふふ~ん♪」
鼻唄を歌い、いつもの通学路を駆け抜ける。
通学路って言ってもここら辺は田舎だから田んぼの畦道ばかりだし、保育園に行っていた頃から通った道だ。
目を瞑ってでも歩いていける自信がある。
そして、今あたしは小説を読んでいた。
昨日、大好きな作家さんの新作が出たんだ~。
うきうきしながら、ページをめくった。
あたしが今読んでいるのは、ラブファンタジー。
普通の女子高生が異世界にワープしちゃって、そこで王子様と出会い、恋に落ちるという話だ。
王子様はほかにもたくさんの美しい姫君や許嫁がいるのに、王子様が助けた主人公と恋に落ちて……。
あーっ!
「いいなぁ……あたしもこんな小説の主人公になりたい」
小説を読んでは、必ず一回は思う言葉。
また1ページめくったところで高校についていることに気がついた。
いっけない。
また、高校通り過ぎちゃうところだった……!
過去に一度、小説に夢中になりすぎて、高校を通り過ぎたことがある。
それは恥ずかしくて人には言えないんだけど。