あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。






 ベチッと、床にたたきつけられるあたしとカカオ。


 どうやら抜け出せたみたい。



「危なかった!」



 なにあのお姫さま!


 怖いよ、鬼!


 ここは、どうやら王座の間を真正面から見ることができる、敷地内にある門の横の物見塔の中だった。



「ってて……」

「カカオ! ゴメン。 とっさに飛んだから、場所とか指定してなくて……。 それより、ケガはない?」

「ああ、まおもなさそうだな」

「うん。 あたしは無事」


 
 互いの無事を確認したカカオは塔の窓に駆けより、王座の間を確認している。


床は一部が抜け落ち、どうやら天井も抜けたみたいで青空が見えていそうだ。


壁も片側はがっつりなくなっている。


砂煙の中で、人が動いているのが見えた。


よかった、どうやら皆は無事みたい。


けれど、姫のあまりの激昂に、さっさと逃げ出す者もいる。


兵は先程の半分程度まで減少していた。



「ハデにぶち抜いたな」

「……修理大変そうだね」

「……そこか?」

「え?」

「いや、いい。 とりあえず、また王座の間に転送してくれないか」



 
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