あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「うん」
あたしは魔方陣をまた手に点し、うまいこと床のある部分に転送先を指定すると、王座の間に転送した。
すると、まるであたしたちが現れる場所を予測していたみたいに目の前に姫の形相が現れる。
あたしたちが現れても、姫を守る者はもういない。
姫自身も自らあたしたちに向かってきた。
「フフフ、先ほどは逃げられたようだけど、今度はそう簡単にはいかなくってよ」
そういって、もう光を失った瞳でこちらを見た姫は何かを取り出した。
「それは……」
ひとつの、ピアスだった。
金で造られていて、一人の天使と大きな翼がモチーフになっている。
その天使は、涙を流しながら、なにかお祈りをしているように見えた。
「その昔、このオスガリアにいたと言われている天使を呼び起こすことができるの」
「はぁ?」
マヌケな声が、出てしまう。
そんなものあったんかい。
「そんなものあったのなら、さっさと呼び寄せてオスガリアの環境直してもらえばよかったじゃん」
あたしが言うと、隣でカカオがうんうんと頷いた。