あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
かつて、この国を維持し、繁栄させていた力のある天使……本当に召喚されたの?
「倒すのは、この魔女のまおという女だけで、カカオさまは捕らえるだけにしてくださいな。 カカオさまはわたくしの夫となるのですから」
「……魔女? ……まお?」
天使の様子が、変わった。
「天使さま……?」
ゆっくりと、こちらに向かって歩いてくる天使に一瞬驚いたような表情をした姫だけれど、あたしを倒すと思ったのか、一旦後ろへ下がる。
あたしも、両手に魔方陣を宿し、天使と呼ばれたものを睨む。
カカオが、あたしの前に割り込もうとしたけれど、あたしはそれを目で制した。
これは、あたしが倒さなきゃ。
これこそが、あたしの使命のような気がする。
やっぱり、これがRPGなら主人公がボスを倒さなきゃダメでしょ⁉︎
そうと決まれば、あたしだって本気でいくわよ!
この世界に来て、遊んでたわけじゃないんだから!
あたしは、ウェズリアを守るために呼ばれたの!
相手が仕掛けてこないならこちらから!
魔方陣にさらに魔力を込め、攻撃態勢になった時だった。
「まお……?」
パチパチと静電気を発し始めていた魔方陣が光を失う。
え?と思った。
この声……どこかで……。
「まお! 麻央じゃない!?」
「っ!?」
突然、ガバリと抱き着かれ、あたしは立ち尽くした。
誰、なに!?
知り合い?
グリグリと頭を押し付けてくる天使を、なんとか引きはがし、その顔を確認する。
「あっ!」
思い出した!