あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「それじゃ、準備をしなきゃ」
「準備?」
「簡単なことよ」
パチン、と再びウインクする紗桜。
すると、サワサワと髪が揺れ出した。
毛先から、真っ黒だった髪がじょじょに色素を失っていく。
すると、髪はすべて色素を失って、見事な白銀の髪になった。
背についていただけの翼が地面にひきずるほど大きくなり、命を得たようにバサリと羽ばたく。
そして、ひらかれた目は──右目が金で左目が青だった。
「ふー……」
「さ、紗桜」
「どうかした?」
「その格好は……?」
あまりの神々しさに、目が眩んでしまいそうだ。
脳が、クラクラと揺れた。
「これが私の天使としての本当の姿なの。 ヘン?」
「ううん! すっごくキレイ! 紗桜にすっごい似合ってるよ!」
その目も髪も浮いてる感じが全くしなくて、紗桜によく馴染んでいる。
昔天使だったときの名残だからだろうか、違和感が全くない。
むしろ、この姿でいるときの方が、本当の紗桜である、そうとまで思わせてしまうほどの説得力。
すると、紗桜は目を細めて笑った。