あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
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ウェズリアに、秋が訪れた。
蒸し暑い季節は終わりを告げ、日差しはまだまだ強いものの風が冷たくなってきた。
城下町はいつものように栄え、呼び込みの声が空に高く響く。
「今日も新鮮な魚を仕入れてるよっ! これからの季節にぴったりなオーグン(地球で言う秋刀魚のようなもの)だ! さぁ、買った買った!」
「肌寒くなってきたからケープはどうだい? 羊の毛で出来ていて暖かいよ!」
ガヤガヤと騒がしく、人手溢れる様子は、いつもの光景で。
しかし、今回はいつもと少し違った。
城の方が明らかに人口密度が高い。
「聞いたかい? 隣のテレンスさんとこの長男、そうそう魔術師学校を今年卒業した子よ!」
「その子、首席で卒業したんですってね」
「まぁ、さすがね」
「そう、その子が軍隊に引き抜かれたんですって!」
「まああ! やっぱり首席の子はさすがね!」
「あの子、まだ16になってないのに、軍隊に引き抜かれただなんて、やっぱり首席の子は軍隊に引き抜かれるって噂は本当だったのね」
ウェズリアには、10歳から入学出来る魔術師学校というものがある。
基本的に義務教育で15歳までの5年間、魔法や、魔術、魔方陣について学ぶのだ。
その上に20歳まで学べる高等魔術学院というものがあるが、そこへ進むものは大抵学者か教師になる。
みな15歳で社会へ出て働き始めるのが普通だ。
主婦たち3人はひとしきりその首席卒業者についての噂の話で盛り上がった後、ふと、一人の主婦が呟いた。
「そういえば、こんな噂、聞いたことある?」
「「何々?」」
二人の主婦も興味津々で、3人で顔を寄せ合った。