あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
──ぴとり。
ひんやりとしたような体温が、頬に当たる。
目を開くと、目の前にはよく見ればエメラルドグリーンがかっている青の瞳が、あたしを見つめていた。
なに……?
その真剣な瞳は、あたしを捕らえて離さない。
心臓が、痛い。
目の前で形の良い唇がゆるりと動いた。
思わずそこを凝視してしまう。
「──これが魔力を持っている証だ」
そういうと、彼は離れていく。
へ?
なにが起きた?
理解できないあたしは、目を白黒させるだけ。
「え? 証って……?」
掠れたような声しか出ない。
そんなあたしを不思議そうな顔で見る王子。
「だから、その瞳だ」
王子は自分の目を自分で指した。
瞳……?
そういえば、あたしがここにきたのはその目のせいだって王子と出会ったばかりの時に言っていた気がする。
もしかして……。
「青い目が、魔力を持っている証拠……?」
「そうだ」
王子はケロリとした顔で、そう言いきった。
意識が身体から抜け落ちた気がした。