あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「わっ!」
突然、ぐいっと身体が後ろに引き寄せられた。
なに……?
気づけば、あたしは王子と向き合っていた。
お、お、お、王子の手が!
手があたしの腰と顎にあるぅ~!
パニック状態に陥ったあたしの顔を、王子は指で上を向かせた。
こ・れ・は、小説のラブシーンでも出てくる『顎クイ』!!
なんだか、とてもこそばゆいのに、王子の青い目に囚われて、動けない。
触れられた場所が熱い。
気を抜けば、へたり込んでしまいそうだ。
でも、腰に添えられている王子の腕が、それをさせない。
「まお、お願いだ」
カッコイイ、艶っぽい大人の声で、名前を呼ばれると、とろけてしまいそう。
「なん、ですか?」
声がちゃんと出ているかも、わからない。
この甘い空気の中、王子はムードを壊すような爆弾発言を落とした。
「このウェズリアを守るために──戦ってくれ」
「…………」
はあ!?