あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「今日『は』遅れなかったのね」
「も~! 紗桜ったら! あたしはそんなことをしませんよーだ!」
どこか意地悪げに微笑む紗桜に向かって舌を出すと、紗桜はたちまちその秀美な眉根を寄せた。
あ、怒らせちゃった……?
「あ~ら? あたしにそんなこと言っていいのかしら?」
「申し訳ございませんでした! なんでもございません‼︎ 紗桜様!!」
ははーっ!とあたしは机に頭を付けた。
そんなあたしを見下ろす紗桜の顔には、黒い笑顔が張り付いていた。
この笑顔は、天使スマイルではなく、悪魔の笑みだ。
この笑顔の紗桜は本当に何をしでかすかわからない。
前に怒らせてしまった時、おでこにマジックで目を描かれた。
『麻央の好きそうな第三の目よ』って満面の笑みで。
水性だったし、うちに遊びに来た時だったから良かったんだけどね。
まさか本当に人の顔に落書きするなんて思わないでしょ⁉︎
しかも、女の子なのに!
紗桜、お嬢様なのに!
いや、お嬢様だからなのかな?
どっちにしろ……怖いです、紗桜様……。