あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
*
「おはようございます、まお様」
「……えと、どなたでしょうか」
朝、目覚めるとそこには、一人のメイドさんがいた。
あたしと歳、同じくらいかな。
肩くらいでキレイに切り揃えられたピンクがかった茶髪が、頭を下げるとユラリと揺れる。
ヘッドドレスが、すごく似合ってるんだけど……。
「私は、クコといいます。 カカオ王子の命令により、今日からまお様お付きの侍女となります。 よろしくお願いいたします。 何かありましたら、何なりと私にお申しつけください」
「あ、よろしくお願いします……」
クコの雰囲気に飲み込まれ、あたしも慌ててベッドから降り、クコに頭を下げた。
「王子から、これから朝食をとり、そのあと用事があるようなので、早急に着替え、食堂に来るようにいわれております」
「カカオが!?」
あたしが名前を呼び捨てしたことで、クコは動きを止めた。
そして、ニッコリと可愛らしい笑みを浮かべる。
「仲がよろしいのですね、まお様と王子は」
「そんなワケない!」