あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
カカオの話によると、魔法使いは、生涯共にする相棒がいるらしい。
それは、鳥だったり、犬だったり、はたまたライオンだったり。
どんな動物でも、『使い魔』になれた。
ただし、一種類だけ、魔女しか『使い魔』になれない動物がいた。
それは【猫】。
しかも、黒猫。
使い魔は魔法使いの援助をすることが仕事で、魔法を使うときに手伝ってもらったり、何かに変身してもらったりするらしいんだ。
「じゃあ、カカオもいるの? 魔法使いだよね」
「……俺は魔術師だ」
あ、そうか。
魔法使いと言ったら、カカオは不機嫌になってしまった。
魔法を使える人は魔法使いっていう考えが頭の中にあるけど、この世界では階級を表すことなんだよね。
勝手に階級下げてしまった……。
「使い魔は?」
「……いるじゃないか、ボルトだ」
「ああ! なるほど!」
カカオの使い魔はボルト……つまり、馬かぁ。
「その使い魔とは、その主人と使い魔だけ、会話をすることができる。 だから、周りの人には聞こえないが、俺にはボルトの声が聞こえる」
本人は気づいているのかな?
ボルトの話をしているとき、表情が柔らかくなっていることを。
その柔らかな表情を見て、きゅう、と心臓が締め付けられたようなきがした。