あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。



どうやったら、習得できるの?


もしかしたら、あたしには、無理なの……?


マイナスな思考が一瞬脳裏を過ぎり、激しく頭を左右に振る。


弱気になっちゃダメ!


あたしの様子がおかしいとでも思ったのだろうか。


 カカオはその場にしゃがみ込み、あたしと視線を合わせた。



「どうしてうまくできないのか、理由がわかるか?」



 低く、どこか穏やかな声で囁くと、カカオはあたしを見つめる。



「……それすらもわかんないや」



そのせいか、すんなりと本音が溢れていく。


 まず、精神統一がどうしたらいいのかが、ハッキリとはわからない。


 そんなことを考えていると、注意が他へと向かってしまう。


 カカオは、あたしの手を自分自身の大きな掌の上に乗せた。


 夏の濃い空の青の瞳に見つめられると、なぜかドキリと胸が不思議な音を立てる。


 気がつけば、呼吸と鼓動が、妙に落ち着いていた。



「──そのまま深く、深呼吸をしろ。 そして、身体の奥に『渦』があるはずだ。 それを、身体でちゃんと感じ取れ」



 彼の声に導かれるまま、瞳を閉じるとあたしはそのままカカオの言う『渦』に集中し始めた。


 不思議と周りの音も、


 風も、


 カカオのことさえも、わからなくなった。




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