憎たらしいほど君が好き
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──夕陽side───

イライラする。

「夕陽ぃ今日さー夕飯食べに来ない~?」

誰だ、この浮かれ頭は。

真人と付き合うことになってから霞はやたらと自炊するようになった。

普通に考えれば良いことだ。

出不精で不器用な奴がハキハキきびきび動く、女子力の塊になったんだから。

おまけに男子人気も上昇中だ。


それに、何だって従兄弟で仲良しこよしなの?

近所に住む親戚ってそこまで仲良くならないのが常じゃないのか?


霞には驚かされてばかりだ。

そのくせ危うげですぐ泣くし、何より儚い。

俺の親友に叶うはずのない恋なんかして、何度も泣いて。

そんな涙、無駄すぎる。

そう思っていたはずなのに。
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