憎たらしいほど君が好き
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真昼の空は、綺麗だ。

十月の青はどの季節よりも澄みきって、空気が軽い。

昼休みの教室はざわざわしていて誰も一人で窓際に座る人間なんて気にもしない。


窓の外では真人がサッカーをしている。


サッカーできるんだ。

本当に運動神経いいな。


「霞ー」

凛とした高い声が聞こえた。

「…リサ」


振り返ると後ろに渋谷 理彩(Shibuya Risa)が立っていた。 


「どうしたの理彩。うちのクラスまで来るとか珍しいじゃん」

「気分だよ気分。セナとミオは?」


本命はそっちか。

「さあ、購買に牛乳でも買いに行ってんじゃない」

窓の外に目を戻して答える。

我ながら素っ気ないとも思うけど、気を遣わなくて良い相手だからいっか。


「は?牛乳?」

怪訝な顔をする理彩。


「ミオもセナも巨乳になりたいらしいのよ」


興味ない。


「馬鹿じゃんそれ。…霞はさっきから何見てんの?」

「んー、目の保養」

「保養?ああ、マサくんとシオミか」


真人は理彩と幼なじみで、彼の親友の汐見 夕陽(Shiomi Yuhi)は私の従兄弟だ。


マサくん、だなんて。


「夕陽も保養なの、理彩は」

「あたし?あたしは汐見の顔のがタイプ」


ははっと理彩が笑う。
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