ある男の子と女の子の秘密のお話

ニコニコしながら
芝生に寝転がって

私を見る哲郎……

まるで、犬みたいw

私は、なんだか照れ臭くて
バックから春休みの課題を出した

少しでも、気を紛らわす方法？




「ヒカリは
1人で電車に乗ってる時は
いつも勉強してる！！」





み、見抜かれているっ！

哲郎は、本当に私を良く見てる


私は、どこでも
何をしていいかわからなくなると
本を取り出す癖がある





「哲郎は？課題は終わったの？」




「まだ…w」





今日の哲郎は
何を言っても無駄だった

課題の話をしても
ニコニコ私を見てるだけ
芝生の上をゴロゴロ

とりあえず
私は、哲郎の横に座り


アイスティーを飲みながら
課題に目を落とした…


春休みはあと3日で終わる…


哲郎が、ゴロゴロと近寄って来て
私の課題に目を向けた





「ヒカリってさ…
頭いいよね？
文系だよね？
いつも思ってたんだ！俺！」





「いつも？思ってた？」





「うん、いつも難しい本
読んでるし…
人にわかりやすく話すのが
すごくうまい…
っていつも思ってた」





「そうかな？
がんばって話をするようには
してるかもしれないけど…w」




いつも…
学年で10番以内の哲郎に言われても
なんだかなぁw





「俺！理系！
自分の頭の中でわかってれば
それでいい人！w
相手に伝える能力まるでなし！」





「それは
言われなくてもわかるw」





「哲郎の課題は？見せて！」





別に課題ばかり
気にしていた訳じゃなくて

哲郎のいる位置が…
私と…近すぎる


しかも、今日に限って
ショートパンツを履いていたから


少し露出している
自分の太ももが
太く見えてたら、嫌だなぁって
何度も、座り直してた。


哲郎は、寝転んだまま
片手でゴソゴソ…

鞄をあさり
漢文の課題を出してきた





「ほら！ヒカリ…
真っ白なプリント！w」





「お見事だぁ…w」





どう考えても
この真っ白なプリントを
終わらせる方が先だった

私は、右手でチョコチョコと
哲郎のプリントにメモをした





「哲郎…これ、後で
自分の字で書き直さないと…ね！」





「やだ！そのままがいい
ヒカリの字がいいw」






……この人、学年で10番以内？

哲郎は相変わらず
私の横でゴロゴロしている


哲郎の指が、そっと…
私の髪の毛の毛先を触る

髪の毛に神経なんて
通ってないのに
哲郎の指の動きを感じる…





「ねぇ、ヒカリ…
髪の毛フワフワ
また、学校にして来る？」




「うーん、朝、時間に
余裕があったらね」





「俺が、学校にいる時に
してきてね！w」





「あははw…サトル君に
言われちゃうからね！」





「あいつ、マジ…そればっかり！
ヒカリも、俺が、謹慎終わっても
フワフワしてこないし！w」






哲郎の脳内直送便の言葉は
おもしろすぎた。

このままじゃ課題は進まない…
私は、黙々と漢文を読んでいた…


これ以上、哲郎と話をしていたら

なんだか・・・
トロけてしまいそうだった

髪の毛を触られてるだけなのに

ドキドキして
ヤバイと思った・・・





「ねぇ、ヒカリ…
このいい匂いは何？」





哲郎は
私の髪の毛をクンクンと
匂ってる…

私は、自分のバックから
いつも持ち歩いていた

携帯用のボディミストを出して
哲郎の手にシュッとふりかけた





「香水じゃないから…香りは
すぐに消えるからね…」




哲郎は、私の手から
ボディミストを取り上げて…

ボトルを見てる。





「これだ…この香り
いつも、気になってた
香水じゃないのは
気がついていたんだけど
…これかぁ」






哲郎は、
ボディミストのボトルを
見ながら喋っていたw


「それ、お肌が
乾燥しないための
お化粧水みたいな物だよw
少し、香りがついてるけどね！」





「柔らかーくて、優しい香りが
ヒカリに
似あってるんだよね！これ！」





「今日は、
ヒカリの香りを覚えた！w
てか、もう、 
薄暗くなってきた…
ヒカリ…
お母さん、心配するよ！」





「ほんとだ！
話をしていたら
あっという間だね！」





「今日は
おつかいはないの？」





「うん、今日は
シチュー作ってきたから
何もないと思う…
お母さんも仕事だったし」





哲郎は
自分の体についている芝生を
払いながら聞いた





「ヒカリが…
シチュー作った？」




「うん…
午前中にね！作ってきた。」




「また…ギャップが…w」





哲郎は、頭の先から足元まで
私を眺めながら





「絶対！料理なんてしませーーん！
私！手が荒れちゃうからぁ。私！！
とか、言ってそうなのに…ヒカリ！」





「いや、もう高校生だし
シチューくらい作れるよw」




「俺、そのギャップにヤられた」




哲郎は、ベンチから荷物を取って
肩にかけた

私のバックも一緒に手に取って…





「もう、入れるものないの？
忘れ物ない？」




「うん…」





一通り周囲を見渡して
忘れ物がないか確認した哲郎は


私に、手を差し出した・・・





「ヒカリと…
手を繋いで
帰りたいんだけど…いい？」






私は、1回だけ軽く頷いて
哲郎の指先をそっと握った

今の私の精一杯は指先だった。





「ねぇ、ヒカリ…
俺もシチュー味見したかったw」





「あーー！そうだよね！
部活帰りでお腹すいてるよね…
ごめん…気がつかなかったよ」





「そーゆう所が好きw
料理なんて
絶対作らない見た目してるのに
ちゃんと
お手伝いしたり料理もする所…
そのギャップ！」





「……普通だよw」





哲郎は
私が握っている指先をそっと外し

自分の手をパーの形に広げた





「俺の手のひらに
ヒカリの手のひらを乗っけて」






哲郎の言うとおりに
手のひらと、手のひらを重ねる

哲郎はそのまま
自分の指と、私の指を絡ませて

手をギュと握りしめた





「これ、恋人繋ぎって
言うんだって
サトルに聞いた…w
いっぱい
くっついてる感じする！」





「恋人繋ぎ！？
ほんとだ！
指も手も全部くっついてる」





「家の近くまで来たら
外そうね…
お母さんびっくりしちゃう。」





「うん…」



「うんw」





「2年間も片思いしてたんだから
恋人握り…してもいい？」




「うん…w」





「シチューを味見したい気持ちも
わかってくれる？w」




「うんw」





それ以上は
何も言えなかったけれど

私は、ほんの少し…

ドキドキが、哲郎に、聞こてても
いいかなっておもった。