お伽草子

　　そして翌日その予感は適中しその日を境に、唯斗の顔を見かける度耒架の心臓は、バクバクと鼓動が速まり始めた。そしてその思いは日増しに強くなっていった。


　　そしてその思いは今までただ漠然と耒架が絵を描いていただけのごくありきたりの日常から、明らかに絵を描く楽しさを倍増させてくれる原動力となった。


　　ちなみに将来美大に進み才能が開花して、絵を描く事だけでご飯を食べて行ける人は、ほんの一握りの人達だけである。


　　だから勿論耒架は自分が油絵や水彩画を描いて生活が成り立つ程、自分に絵の才能があるなんて大それた事は、全く考えてはいなかった。