暗闇の恋
目の前から杖を突いた女の子が歩いてきた。
邪魔にならないようにと避けた瞬間「八雲さん!」とその子は声をあげた。
郁の名前と呼ばれ私も咄嗟に声が出てしまった。
彼女は自分の名前を言って郁に助けられたと言った。
一週間と少し前…郁の様子が変わった時だと思った。
と同時にあの雨の日の事を思い出した。
郁の唇が告げた名前。
《あゆむ》
この子も歩といった。
まさかこんな子供?どう見ても高校生じゃない。
私は敢えて自分の事を知り合いだと言った。
この子がどんな子なのかが知りたい。
この子の何処が郁は惹かれたのかが知りたい。
あの日から郁は私を友達の女の子から、恋人に昇格してくれた。
毎日の様に抱き合い優しいキスを交わす。
大学でも周りの友人に付き合うことになったと次の日には言ってくれてた。
バイト先の先輩にも言っていた。
郁の中でこの子はもう過去になったのかもしれない。
それが無理矢理だとしても行動を起こしてくれている。
この一週間本当に幸せで夢の様な時間を過ごしてきた。
つい最近、一昨年郁が一緒に暮らさないかと言ってくれた。
嬉しくて泣いた。
その涙を拭ってくれた手は優しくて、ちゃんと好きな人触れてる手だった。
少しずつ荷物を運んでペアの物買って、好きな人と一緒にいる事を幸せだと噛み締めてる。
だから今この子が関係してきても平気なのかもしれない。
でも、気になる。
家に誘うと戸惑いながらも、承諾してくれた。
郁の気になる子じゃない。
この子も郁が好きなんだと思った。
家に行くまでの道程を彼女の手を私の肩を持ってもらって歩いた。
この子の手は温かく優しい手をしてると思った。
時折みせる笑顔は緊張が見え隠れするけれど、かわいく笑う子だと思った。
きっと郁はこの笑顔にやられた。そう思った。
女の私でも可愛いと思うのだから。
質問をしてみた。
「見えないってどんな感じる?」
なにも悪気がなかった。
ただ単純にどんな感じだろうと思ったからだったけど彼女が戸惑いを見せた。
変な質問して、ごめんと誤った。
それから家までの距離を無言のまま歩いた。
家に着いて階段で支える様に上がる。
さっきも肩に手を置かせた時もそうだったけど、この子は人の優しさを感じた時ふと笑顔をこぼす。
きっと本人は気付いてないと思った。
部屋に通して紅茶を入れた。
その間彼女は部屋を確かめるように見渡してる。
紅茶を持って行き隣に座ると私の香水の香りを言って黙ってしまった。
何かを考えてる、そんな顔してた。
急に帰ると言いだした。
用事があったのを思い出したと。
お決まりの言い訳。
送って行くと言うと断られた。
泣き出しそうな顔になにも言えなくなった。
私は彼女の気持ちを知っていたのになんて酷いことをしたんだろう。
こんな酷いこと…若干15・16の子に経験させるなんて…。
逃げる様に帰る彼女に気をつけてとしか言えなかった。
数分後郁が帰ってきた。
様子が変。
きっと帰って来る時にあの子に会ったんだと思った。
黙って見てる私に
『何かあった?』と話しかけてきた。
私はあの子に出した、一口も口をつけなかった紅茶を流しながら
「なんでもないよ」と答えた。
そのまま郁に背を向けカップを洗う。
郁が後ろから私を抱きしめた。
郁の方に向きなおり泡がついたままの手で郁の顔に触れた。
驚いた郁が笑いながら
『なにすんだよ!?』と言った。
私も笑う。
これでいい。
今は私が郁のそばにいる。
これからも私がそばにいる。
あの子じゃない。
私がそばにいるんだから。
辛い想いをさせてしまったけれど、この場所だけはあの子にも誰にも譲れない。
邪魔にならないようにと避けた瞬間「八雲さん!」とその子は声をあげた。
郁の名前と呼ばれ私も咄嗟に声が出てしまった。
彼女は自分の名前を言って郁に助けられたと言った。
一週間と少し前…郁の様子が変わった時だと思った。
と同時にあの雨の日の事を思い出した。
郁の唇が告げた名前。
《あゆむ》
この子も歩といった。
まさかこんな子供?どう見ても高校生じゃない。
私は敢えて自分の事を知り合いだと言った。
この子がどんな子なのかが知りたい。
この子の何処が郁は惹かれたのかが知りたい。
あの日から郁は私を友達の女の子から、恋人に昇格してくれた。
毎日の様に抱き合い優しいキスを交わす。
大学でも周りの友人に付き合うことになったと次の日には言ってくれてた。
バイト先の先輩にも言っていた。
郁の中でこの子はもう過去になったのかもしれない。
それが無理矢理だとしても行動を起こしてくれている。
この一週間本当に幸せで夢の様な時間を過ごしてきた。
つい最近、一昨年郁が一緒に暮らさないかと言ってくれた。
嬉しくて泣いた。
その涙を拭ってくれた手は優しくて、ちゃんと好きな人触れてる手だった。
少しずつ荷物を運んでペアの物買って、好きな人と一緒にいる事を幸せだと噛み締めてる。
だから今この子が関係してきても平気なのかもしれない。
でも、気になる。
家に誘うと戸惑いながらも、承諾してくれた。
郁の気になる子じゃない。
この子も郁が好きなんだと思った。
家に行くまでの道程を彼女の手を私の肩を持ってもらって歩いた。
この子の手は温かく優しい手をしてると思った。
時折みせる笑顔は緊張が見え隠れするけれど、かわいく笑う子だと思った。
きっと郁はこの笑顔にやられた。そう思った。
女の私でも可愛いと思うのだから。
質問をしてみた。
「見えないってどんな感じる?」
なにも悪気がなかった。
ただ単純にどんな感じだろうと思ったからだったけど彼女が戸惑いを見せた。
変な質問して、ごめんと誤った。
それから家までの距離を無言のまま歩いた。
家に着いて階段で支える様に上がる。
さっきも肩に手を置かせた時もそうだったけど、この子は人の優しさを感じた時ふと笑顔をこぼす。
きっと本人は気付いてないと思った。
部屋に通して紅茶を入れた。
その間彼女は部屋を確かめるように見渡してる。
紅茶を持って行き隣に座ると私の香水の香りを言って黙ってしまった。
何かを考えてる、そんな顔してた。
急に帰ると言いだした。
用事があったのを思い出したと。
お決まりの言い訳。
送って行くと言うと断られた。
泣き出しそうな顔になにも言えなくなった。
私は彼女の気持ちを知っていたのになんて酷いことをしたんだろう。
こんな酷いこと…若干15・16の子に経験させるなんて…。
逃げる様に帰る彼女に気をつけてとしか言えなかった。
数分後郁が帰ってきた。
様子が変。
きっと帰って来る時にあの子に会ったんだと思った。
黙って見てる私に
『何かあった?』と話しかけてきた。
私はあの子に出した、一口も口をつけなかった紅茶を流しながら
「なんでもないよ」と答えた。
そのまま郁に背を向けカップを洗う。
郁が後ろから私を抱きしめた。
郁の方に向きなおり泡がついたままの手で郁の顔に触れた。
驚いた郁が笑いながら
『なにすんだよ!?』と言った。
私も笑う。
これでいい。
今は私が郁のそばにいる。
これからも私がそばにいる。
あの子じゃない。
私がそばにいるんだから。
辛い想いをさせてしまったけれど、この場所だけはあの子にも誰にも譲れない。