暗闇の恋
友達の体調不良で一日早く帰ってきた。
驚く顔が見たくって郁には連絡を入れず帰ってきた。
連絡して帰ってこれば良かった。
手を繋いで目の前を歩く、あの子と郁を見るぐらいなら…。
どうして二人が一緒に居るの?
なんでそんなに親しげに並んで歩いてるの?
この道は家に行く道…二人で帰るの?あの家に?
私はいけない事とわかっていながら二人をつけた。
いつ郁が振り向くかもしれない。
でも二人に今声をかける勇気がない。
家について階段を上がって行く二人を影に隠れて見る。
玄関前であの子は足を止めた。
微かに聞こえてくる声に耳を澄ました。
私の香りがするから入れないと言った。
郁はあの子の手に文字を書いている。
さすがにそれまではわからなくて、もどかしい。
二人は何か会話をしてるけれど全体が掴めない。
あの子の声が聞こえないことのほうが多い。
家の前でずっと話をしている。
もう我慢が出来ない。
行ってどうゆう事か直接確かめる。
決意して一歩足を出した。
その時だった。
なんのためらいもなく二人はキスをした。
周りに人がいない事も確かめる事なくキスをした。
軽いキスをして離れたと思ったら、今度はさっきより深く愛を確かめるようなキス。
「なんで…。」
影に隠れて口を塞いだ。
鳴き声が聞こえてしまいそうだった。
ほどなくして階段を下りてくる音がした。
足音とカツカツと杖のつく音。
あの子が来たとわかる。
一層身を隠した。
少し顔を出して郁を見た。
ずっとあの子を目で追ってる。
見えなくなるまで見送る顔は今まで見たことない顔をしてる。
私に向けたことのない顔。
涙が止まる事を知らないように次から次へと溢れてくる。
一歩一歩階段上がった。
家の前に立った。
鍵は持っている。
でもインターホンを押した。
バタバタと音をさせて勢いよくドアが開いた。
その顔はあの子かもと思った顔だった。
私の顔を見た瞬間、郁の顔が凍りついた。
冷静さを装い『なんで?旅行は?』と聞いて聞いてきたけど、私は無視して家に入った。
郁が私の腕を引いた。
その行動が神経を逆なでる。
郁の手を振りほどいた。
こんな時、感情で突っ走るといけないとわかってる。
冷静にならなきゃと自分に言い聞かせる。
早く帰ってきた理由を言うと郁は友達大丈夫と聞いてきた。
冷静にと思ってても郁の何もないように振る舞う姿に我慢できなかった。
問いただすと『そうだね…。』と言って黙った。
説明してくれないのと詰め寄るけれど郁は黙ったまま。
私は郁に嘘を付いた。
最後の階段を下りてきたとこしか見てませんと思わせる言葉を言った。
やっと言った言葉は『家には入ってないよ。』
苦し紛れに聞こえた。
さらに問い詰めると郁は嘘を付いた。
私に相談したかったから来たと…。
もう、それでいいやと思った。
郁がそう言うならそれでいい。
郁と離れたくはない。
郁の中にあの子の存在がずっとある事はわかってた。
何かを決断したような顔で郁が私を呼んだ。
嫌だ。聞きたくない。
私は逃げる様に台所に立った。
郁が後ろから抱きしめてきた。
『なに?』と聞いた。
その体勢のまま郁は『別れてくれないか?』と、言った。
見たくない手話だった。
目の前が真っ暗になる。
嘘を付いたのは私と別れたくないからなんじゃないの?
なんで?なんで?なんでよ!?
郁は私を自分向け顔を覗き込んできた。
私はただただ泣いた。
ボロボロと涙が止まらない。
『ごめん…でも嘘付けなくて…』
その言葉に堪えれなくなった。
感情のまま叫んだ。
郁が言ってる嘘はきっと自分の気持ちの問題で私が指摘した嘘は現実のこと。
郁は自分が言った嘘がバレてないとでも思っていたのかビックリしてる。
男はいつだって自分の嘘がバレないと思っている。
その大半が女にはバレてる。
郁もよくいる、そこらへんの男だったんだ。
全部見ていたことを言うと驚いた顔を向けた。
郁は弁解を並べた。
『僕は本当にまどかが好きだったよ!』
なんで…過去形なの?
もう結果出てるんだと思うと可笑しくなった。
私は鞄を取って家を出ようとした。
郁が引き止め『こんな別れ方よくない。』と言った。
その言葉に本気で嫌になった。
この人は自分のしたことを許して欲しいだけなんだと思った。
勢いよくドアを閉めた。
郁にわかるわけないのに…。
階段を下りて振り返った。
「追いかけて来てくれないんだ…。」
その日私は前の家に帰った。
解約せずにおいていた家が役に立つなんて考えてもみなかった。
次の日バイトを辞めた。
急に困ると言われたけれど、郁に会う場所には行きたくなかった。
ずっと帰って来いと言われてた実家に電話した。
郁が好きだったから断り続けた見合いをしようと思った。
なげやりでもなんでもいい、郁を忘れるならなんでもよかった。
父に、一度帰って来いと言われた。
私の父は有名企業の社長で私は俗に言うお嬢様。
世間を知るのもいいだろうと、一人暮らしをさせてくれた。
この機会に結婚が決まれば大学を辞めてもいい。
郁がバイトで居ない隙に荷物を取りに行った。
これで全部だと思って帰ったのに香水を忘れたことに気付いて取りに行った。
あれから何度も郁からのメールがあったけど返事はしなかった。
郁と別れてから一週間後実家に帰り見合いをした。
見合い相手は父の秘書の息子さんでとても素敵な人だった。
「まどかさんは好きな方がいるんじゃないですか?」
二人になって一番に聞かれた。
答え戸惑うと彼は
「私はそれでも構いません。以前から貴女が好きだったんです。少しずつでいいから、私と始めてくれませんか?」
その言葉に心が救われた気がした。
私は実家に帰ることを決め、大学に休学届けを出した。
私の休学届けを知って郁からメールがきた。
《まどかに会いたい。》
そのメールに心が動いた。
もうメールもしちゃいけない。
私はそのメールを最後に返信しなかった。
私は荷物をまとめて実家に帰った。
驚く顔が見たくって郁には連絡を入れず帰ってきた。
連絡して帰ってこれば良かった。
手を繋いで目の前を歩く、あの子と郁を見るぐらいなら…。
どうして二人が一緒に居るの?
なんでそんなに親しげに並んで歩いてるの?
この道は家に行く道…二人で帰るの?あの家に?
私はいけない事とわかっていながら二人をつけた。
いつ郁が振り向くかもしれない。
でも二人に今声をかける勇気がない。
家について階段を上がって行く二人を影に隠れて見る。
玄関前であの子は足を止めた。
微かに聞こえてくる声に耳を澄ました。
私の香りがするから入れないと言った。
郁はあの子の手に文字を書いている。
さすがにそれまではわからなくて、もどかしい。
二人は何か会話をしてるけれど全体が掴めない。
あの子の声が聞こえないことのほうが多い。
家の前でずっと話をしている。
もう我慢が出来ない。
行ってどうゆう事か直接確かめる。
決意して一歩足を出した。
その時だった。
なんのためらいもなく二人はキスをした。
周りに人がいない事も確かめる事なくキスをした。
軽いキスをして離れたと思ったら、今度はさっきより深く愛を確かめるようなキス。
「なんで…。」
影に隠れて口を塞いだ。
鳴き声が聞こえてしまいそうだった。
ほどなくして階段を下りてくる音がした。
足音とカツカツと杖のつく音。
あの子が来たとわかる。
一層身を隠した。
少し顔を出して郁を見た。
ずっとあの子を目で追ってる。
見えなくなるまで見送る顔は今まで見たことない顔をしてる。
私に向けたことのない顔。
涙が止まる事を知らないように次から次へと溢れてくる。
一歩一歩階段上がった。
家の前に立った。
鍵は持っている。
でもインターホンを押した。
バタバタと音をさせて勢いよくドアが開いた。
その顔はあの子かもと思った顔だった。
私の顔を見た瞬間、郁の顔が凍りついた。
冷静さを装い『なんで?旅行は?』と聞いて聞いてきたけど、私は無視して家に入った。
郁が私の腕を引いた。
その行動が神経を逆なでる。
郁の手を振りほどいた。
こんな時、感情で突っ走るといけないとわかってる。
冷静にならなきゃと自分に言い聞かせる。
早く帰ってきた理由を言うと郁は友達大丈夫と聞いてきた。
冷静にと思ってても郁の何もないように振る舞う姿に我慢できなかった。
問いただすと『そうだね…。』と言って黙った。
説明してくれないのと詰め寄るけれど郁は黙ったまま。
私は郁に嘘を付いた。
最後の階段を下りてきたとこしか見てませんと思わせる言葉を言った。
やっと言った言葉は『家には入ってないよ。』
苦し紛れに聞こえた。
さらに問い詰めると郁は嘘を付いた。
私に相談したかったから来たと…。
もう、それでいいやと思った。
郁がそう言うならそれでいい。
郁と離れたくはない。
郁の中にあの子の存在がずっとある事はわかってた。
何かを決断したような顔で郁が私を呼んだ。
嫌だ。聞きたくない。
私は逃げる様に台所に立った。
郁が後ろから抱きしめてきた。
『なに?』と聞いた。
その体勢のまま郁は『別れてくれないか?』と、言った。
見たくない手話だった。
目の前が真っ暗になる。
嘘を付いたのは私と別れたくないからなんじゃないの?
なんで?なんで?なんでよ!?
郁は私を自分向け顔を覗き込んできた。
私はただただ泣いた。
ボロボロと涙が止まらない。
『ごめん…でも嘘付けなくて…』
その言葉に堪えれなくなった。
感情のまま叫んだ。
郁が言ってる嘘はきっと自分の気持ちの問題で私が指摘した嘘は現実のこと。
郁は自分が言った嘘がバレてないとでも思っていたのかビックリしてる。
男はいつだって自分の嘘がバレないと思っている。
その大半が女にはバレてる。
郁もよくいる、そこらへんの男だったんだ。
全部見ていたことを言うと驚いた顔を向けた。
郁は弁解を並べた。
『僕は本当にまどかが好きだったよ!』
なんで…過去形なの?
もう結果出てるんだと思うと可笑しくなった。
私は鞄を取って家を出ようとした。
郁が引き止め『こんな別れ方よくない。』と言った。
その言葉に本気で嫌になった。
この人は自分のしたことを許して欲しいだけなんだと思った。
勢いよくドアを閉めた。
郁にわかるわけないのに…。
階段を下りて振り返った。
「追いかけて来てくれないんだ…。」
その日私は前の家に帰った。
解約せずにおいていた家が役に立つなんて考えてもみなかった。
次の日バイトを辞めた。
急に困ると言われたけれど、郁に会う場所には行きたくなかった。
ずっと帰って来いと言われてた実家に電話した。
郁が好きだったから断り続けた見合いをしようと思った。
なげやりでもなんでもいい、郁を忘れるならなんでもよかった。
父に、一度帰って来いと言われた。
私の父は有名企業の社長で私は俗に言うお嬢様。
世間を知るのもいいだろうと、一人暮らしをさせてくれた。
この機会に結婚が決まれば大学を辞めてもいい。
郁がバイトで居ない隙に荷物を取りに行った。
これで全部だと思って帰ったのに香水を忘れたことに気付いて取りに行った。
あれから何度も郁からのメールがあったけど返事はしなかった。
郁と別れてから一週間後実家に帰り見合いをした。
見合い相手は父の秘書の息子さんでとても素敵な人だった。
「まどかさんは好きな方がいるんじゃないですか?」
二人になって一番に聞かれた。
答え戸惑うと彼は
「私はそれでも構いません。以前から貴女が好きだったんです。少しずつでいいから、私と始めてくれませんか?」
その言葉に心が救われた気がした。
私は実家に帰ることを決め、大学に休学届けを出した。
私の休学届けを知って郁からメールがきた。
《まどかに会いたい。》
そのメールに心が動いた。
もうメールもしちゃいけない。
私はそのメールを最後に返信しなかった。
私は荷物をまとめて実家に帰った。