暗闇の恋
眼が覚める。
いつもの音といつもの匂い…ここは…私の部屋?
手探り周り触る。
自分がベットに居ることがわかった。
あぁそうか…私公園で…えっじゃなんでここに居るんだろう?
お母さんがまさか運べるわけないし…虎ちゃんだって…。
思い出して胸が苦しくなる。
「私虎ちゃんと別れた…?」
口にして改めて思い知らされる。
記憶が蘇る。
何度呼んでも虎ちゃんは離れて行った。
自業自得。そう言われればそうなんだけど、終わりたくなかった。
どこかで虎ちゃんは許して、そばに居てくれるって甘えてたんだ。
ドアの開く音がした。
「あら、歩起きたのね。」
「お母さん…。」
「大変だったのよ…昨日家まで運ぶの。」
そう言って、お母さんは私のおでこに手を当てた。
「う〜ん、まだ少し熱あるわね。」
「お母さんが運んだの?」
少しの間があいた。
「…そうよ。だから大変だったんだってば。」
嘘だ。今のは嘘を付いている。
なんで嘘なんて…虎ちゃんが運んでくれたんだ。
胸が痛くなる。
傷付けたのに…。
「虎ちゃんが運んでくれたんだ…。」
「……。」
「ねぇそうなんでしょ?!」
一つ溜息をつくのが聞こえる。
「えぇそうよ…。」
お母さんがベット脇に座った。
「雨の中何があったの?…虎ちゃんが電話してきたの…自分はもう歩のそばに居れないからって。で、急いで行ったら歩が居て、そばに行ったら気を失うんだもん。そしたら虎ちゃんが来てね…歩をここまで運んでくれた。」
「虎ちゃんは…?」
「あの子も熱があったの。だからここで一緒に寝てって言ったんだけど…夜中見に来た時は居なかった。」
「そっか…。」
「で、何があったの?虎ちゃんに八雲さんの事知られたの?」
お母さんはなんでこんなに、なんでもわかるんだろう。
「うん…。昨日夕方…虎ちゃん、郁と会って話したんだって…。それで、私とはもう会いたくないって…。でも、私好きだって言ったの。勝手なのはわかってるけど、虎ちゃんも失うのは嫌だって…。そしたら…。」
言いかけて詰まった。
虎ちゃんが言ってた言葉が頭を駆け巡る。
家族みたいなもんだったんだよ。
「お母さん…私虎ちゃんのこと好きじゃなかったのかな?」
「なんで?」
「虎ちゃんが失うのは嫌だって言った時、家族みたいなもんだって…。」
「う〜ん、そっかそっか。そう思ったのか…。」
「どうゆうこと?私にはわかんなくて…。」
お母さんは私の手を包むように掴んだ。
「虎ちゃんは歩の想いを恋人ではなく家族としてと思ってるんだと思う。」
いまいちわからない。
「歩の中の虎ちゃんの愛情は異性ではなく、お母さんに対してと同じ家族愛と思ってるのよ。きっと幼馴染みだったかかな。虎ちゃんはずっと前から歩を女の子として見てて、歩は最近まで虎ちゃんをお兄ちゃんのように思ってたでしょ?!だから虎ちゃんは歩が抱いてる愛情は家族愛と思ったのよ…ずっと不安で自信なかったんじゃないかな…そこに八雲さんが出てきた。虎ちゃんの中で不安は確信になっちゃたのね…歩の中には八雲さんの存在が居た。あぁやっぱり俺は幼馴染みなんだって…。」
「そんな事ない…。」
「お母さんに言われても困る。ちゃんと話し合いなさい。このまま終わったら、歩も虎ちゃんもしこりが残るだけだから。」
「うん…。お母さん…携帯取って…。」
お母さんは鞄の中から携帯を取って渡してくれた。
「メールきてるみたいだけど読もうか?」
「誰から?」
「…八雲さん。」
今は郁の存在を忘れたい。
「ううん、いいや。」
「…わかった。御飯は食べれそう?食べれそうなら持ってくるけど…。」
「ううん、一階行くよ。」
「じゃ作るわ。できたら呼ぶから。」
「うん…わかった。」
お母さんは部屋を出て階段を下りて行った。
時計を触ると針は4時36分…。
理沙に電話をかけた。
一回の呼び出し音が鳴って、すぐに理沙が電話に出た。
「歩?今かけようとしてたの!大丈夫?先生に熱って聞いたけど…。」
「うん…大丈夫…。」
この三日間にあった事を話した。
「うわぁ濃い三日間だったね…。歩…大丈夫?今から行くから。」
理沙は私の返事を待たず電話を切った。
家のチャイムが鳴った。
一階から声がする。
階段を上がってくる足音。
ドアが開く。
「来たよ!!実は家前だったの!」
理沙の優しさが嬉しかった。
「やだぁなんで泣いてるのぉ。」
理沙はすぐに私を抱きしめた。
「よしよし。理沙様が沢山聞いてあげるから。」
そい言って理沙は私が泣き終わるまで黙って撫でてくれてた。
それから昨日あった事を話した。
「きつい言い方だけど自業自得だね。」
理沙ははっきり言った。
「歩はどうしたいの?虎生さんの言う通りなんじゃないの?歩は虎生さんのこと家族だと思って好きなんじゃないの?!」
「それはない。そんな相手とエッチしないよ。」
「じゃ八雲さんは?」
「わかんない。今は虎ちゃんの事だけ考えてたいの…。」
「私…思うんだけど。虎生さんの事想うならもう、ちゃんと別れたほうがいいと思うよ。」
「なんで?」
「だって…歩が浮気したのは事実じゃん。その時点で傷付けたんだよ?もし歩が八雲さんより虎生さんを選ぶなら中途半端な気持ちじゃ逆にもっと傷付けるんだよ?!歩は自分が悪者になりたくないだけなんじゃないの?」
図星だった。
虎ちゃんの中の私を最低なままで別れてしまうことが嫌で仕方がなかった。
せめて前のような関係に戻りたかった。
「それって自分勝手すぎるよ…。」
理沙が辛そうな声で呟いた。
「理沙…?」
「とにかくちゃんとしな!自分の事を優先にじゃなく相手の気持ちをちゃんと考えて…歩なら出来るから。」
「うん…ありがとう。」
「じゃもう帰るね。まだ熱あるんでしょ!?お大事にね。また明日も来るから。」
理沙が帰った後、虎ちゃんに電話をかけた。
出てくれるわけがない。
何度コールが鳴っても出ない。
わかっていたけれど辛い。
虎ちゃんの中の私が悪者でもなんでもいい、出て欲しい。
虎ちゃんに拒絶されたくなかった。
次の日も、そのまた次の日も電話に出ない。
明日から学校に行く。
みんなより少し長い夏休みは最悪の夏休みになった。
夕方理沙が来た。
来る途中郁からの手紙を持って…。
内容は虎ちゃんのことだった。
会って話したこと、そのことでなんかあったか心配してること…それと会いたいと…。
正直嬉しいと思った。
同じくらい迷惑だった。
自分でも自分の気持ちがわからない。
私はたぶん虎ちゃんの言う通り郁が好き。
でも相手はお父さんのせいで聴覚を奪ってしまった人。
理沙の言う通り虎ちゃんに対しての思いは、いい人なりたいから…。
全てにおいて中途半端な私の気持ちは自分でどうしたいのか答えが出ていない。
答えを出すには力も経験もない。
それから一週間かけ続けた電話に虎ちゃんが出ることはなかった。
いつもの音といつもの匂い…ここは…私の部屋?
手探り周り触る。
自分がベットに居ることがわかった。
あぁそうか…私公園で…えっじゃなんでここに居るんだろう?
お母さんがまさか運べるわけないし…虎ちゃんだって…。
思い出して胸が苦しくなる。
「私虎ちゃんと別れた…?」
口にして改めて思い知らされる。
記憶が蘇る。
何度呼んでも虎ちゃんは離れて行った。
自業自得。そう言われればそうなんだけど、終わりたくなかった。
どこかで虎ちゃんは許して、そばに居てくれるって甘えてたんだ。
ドアの開く音がした。
「あら、歩起きたのね。」
「お母さん…。」
「大変だったのよ…昨日家まで運ぶの。」
そう言って、お母さんは私のおでこに手を当てた。
「う〜ん、まだ少し熱あるわね。」
「お母さんが運んだの?」
少しの間があいた。
「…そうよ。だから大変だったんだってば。」
嘘だ。今のは嘘を付いている。
なんで嘘なんて…虎ちゃんが運んでくれたんだ。
胸が痛くなる。
傷付けたのに…。
「虎ちゃんが運んでくれたんだ…。」
「……。」
「ねぇそうなんでしょ?!」
一つ溜息をつくのが聞こえる。
「えぇそうよ…。」
お母さんがベット脇に座った。
「雨の中何があったの?…虎ちゃんが電話してきたの…自分はもう歩のそばに居れないからって。で、急いで行ったら歩が居て、そばに行ったら気を失うんだもん。そしたら虎ちゃんが来てね…歩をここまで運んでくれた。」
「虎ちゃんは…?」
「あの子も熱があったの。だからここで一緒に寝てって言ったんだけど…夜中見に来た時は居なかった。」
「そっか…。」
「で、何があったの?虎ちゃんに八雲さんの事知られたの?」
お母さんはなんでこんなに、なんでもわかるんだろう。
「うん…。昨日夕方…虎ちゃん、郁と会って話したんだって…。それで、私とはもう会いたくないって…。でも、私好きだって言ったの。勝手なのはわかってるけど、虎ちゃんも失うのは嫌だって…。そしたら…。」
言いかけて詰まった。
虎ちゃんが言ってた言葉が頭を駆け巡る。
家族みたいなもんだったんだよ。
「お母さん…私虎ちゃんのこと好きじゃなかったのかな?」
「なんで?」
「虎ちゃんが失うのは嫌だって言った時、家族みたいなもんだって…。」
「う〜ん、そっかそっか。そう思ったのか…。」
「どうゆうこと?私にはわかんなくて…。」
お母さんは私の手を包むように掴んだ。
「虎ちゃんは歩の想いを恋人ではなく家族としてと思ってるんだと思う。」
いまいちわからない。
「歩の中の虎ちゃんの愛情は異性ではなく、お母さんに対してと同じ家族愛と思ってるのよ。きっと幼馴染みだったかかな。虎ちゃんはずっと前から歩を女の子として見てて、歩は最近まで虎ちゃんをお兄ちゃんのように思ってたでしょ?!だから虎ちゃんは歩が抱いてる愛情は家族愛と思ったのよ…ずっと不安で自信なかったんじゃないかな…そこに八雲さんが出てきた。虎ちゃんの中で不安は確信になっちゃたのね…歩の中には八雲さんの存在が居た。あぁやっぱり俺は幼馴染みなんだって…。」
「そんな事ない…。」
「お母さんに言われても困る。ちゃんと話し合いなさい。このまま終わったら、歩も虎ちゃんもしこりが残るだけだから。」
「うん…。お母さん…携帯取って…。」
お母さんは鞄の中から携帯を取って渡してくれた。
「メールきてるみたいだけど読もうか?」
「誰から?」
「…八雲さん。」
今は郁の存在を忘れたい。
「ううん、いいや。」
「…わかった。御飯は食べれそう?食べれそうなら持ってくるけど…。」
「ううん、一階行くよ。」
「じゃ作るわ。できたら呼ぶから。」
「うん…わかった。」
お母さんは部屋を出て階段を下りて行った。
時計を触ると針は4時36分…。
理沙に電話をかけた。
一回の呼び出し音が鳴って、すぐに理沙が電話に出た。
「歩?今かけようとしてたの!大丈夫?先生に熱って聞いたけど…。」
「うん…大丈夫…。」
この三日間にあった事を話した。
「うわぁ濃い三日間だったね…。歩…大丈夫?今から行くから。」
理沙は私の返事を待たず電話を切った。
家のチャイムが鳴った。
一階から声がする。
階段を上がってくる足音。
ドアが開く。
「来たよ!!実は家前だったの!」
理沙の優しさが嬉しかった。
「やだぁなんで泣いてるのぉ。」
理沙はすぐに私を抱きしめた。
「よしよし。理沙様が沢山聞いてあげるから。」
そい言って理沙は私が泣き終わるまで黙って撫でてくれてた。
それから昨日あった事を話した。
「きつい言い方だけど自業自得だね。」
理沙ははっきり言った。
「歩はどうしたいの?虎生さんの言う通りなんじゃないの?歩は虎生さんのこと家族だと思って好きなんじゃないの?!」
「それはない。そんな相手とエッチしないよ。」
「じゃ八雲さんは?」
「わかんない。今は虎ちゃんの事だけ考えてたいの…。」
「私…思うんだけど。虎生さんの事想うならもう、ちゃんと別れたほうがいいと思うよ。」
「なんで?」
「だって…歩が浮気したのは事実じゃん。その時点で傷付けたんだよ?もし歩が八雲さんより虎生さんを選ぶなら中途半端な気持ちじゃ逆にもっと傷付けるんだよ?!歩は自分が悪者になりたくないだけなんじゃないの?」
図星だった。
虎ちゃんの中の私を最低なままで別れてしまうことが嫌で仕方がなかった。
せめて前のような関係に戻りたかった。
「それって自分勝手すぎるよ…。」
理沙が辛そうな声で呟いた。
「理沙…?」
「とにかくちゃんとしな!自分の事を優先にじゃなく相手の気持ちをちゃんと考えて…歩なら出来るから。」
「うん…ありがとう。」
「じゃもう帰るね。まだ熱あるんでしょ!?お大事にね。また明日も来るから。」
理沙が帰った後、虎ちゃんに電話をかけた。
出てくれるわけがない。
何度コールが鳴っても出ない。
わかっていたけれど辛い。
虎ちゃんの中の私が悪者でもなんでもいい、出て欲しい。
虎ちゃんに拒絶されたくなかった。
次の日も、そのまた次の日も電話に出ない。
明日から学校に行く。
みんなより少し長い夏休みは最悪の夏休みになった。
夕方理沙が来た。
来る途中郁からの手紙を持って…。
内容は虎ちゃんのことだった。
会って話したこと、そのことでなんかあったか心配してること…それと会いたいと…。
正直嬉しいと思った。
同じくらい迷惑だった。
自分でも自分の気持ちがわからない。
私はたぶん虎ちゃんの言う通り郁が好き。
でも相手はお父さんのせいで聴覚を奪ってしまった人。
理沙の言う通り虎ちゃんに対しての思いは、いい人なりたいから…。
全てにおいて中途半端な私の気持ちは自分でどうしたいのか答えが出ていない。
答えを出すには力も経験もない。
それから一週間かけ続けた電話に虎ちゃんが出ることはなかった。