暗闇の恋
*八雲 郁*
この街に住むようになってから、一年が過ぎた。
大学に近いという理由で選んだが意外と気に入っている。
枕の振動で目が覚める。
今日は午後から講義がある。
午前中はバイトだ。
ファミレスの厨房で働いてる。
急いで支度をし、家を出た。
今日は天気がいい。
春も過ぎそろそろ梅雨になるだろうと思う。
朝から講義がある時や、バイトの時、夕方など杖をつきながら歩く女の子を時々見かける。
一目で視覚障がい者だとわかる。
気にならないことはない。
それが障害者だからという理由だけではない。
ただ、気になる。
きっと単純にタイプなんだと思う。
彼女は背中まですらっと伸びた黒髪が綺麗でいつも風になびいている。
たまに友達と一緒にいるところを見るが笑顔がとても魅力的だった。
声をかけて始めたいと思うけれど、僕には声がない。
声があればと、これほど強く思ったことがない。
ふと交差点で信号待ちをしている君を見つけた。
彼女の後ろから数人の男女が話しながら、彼女に近付いていく。
一番前を歩いてる女の子は後ろを見ながら話しに夢中で前方を見ずに歩いてる。
『あっ危ない!』
そう思った瞬間、僕の体が動いた。
その女の子は彼女にぶつかると、その反動で彼女が道路に押し出された。
僕は咄嗟に彼女の腕を掴んだ。
勢いよく引っ張ってしまった彼女は僕の腕の中にいる。
ヤバい…心臓がバクバク音を立てている。
離れた彼女はごめんなさいと言った。
伝えなくては…。
僕は彼女の手を取り、手のひらに文字を書いた。
伝わらなかったのだろう、もう一度と言われ今度はゆっくりと書く。
彼女は僕の事を理解したのか、少し慌てた。
くちびるが読めると伝えると彼女はありがとうと言った。
あの笑顔が今僕に向けられている。
時間が止まってる気がした。
ポケットの中で携帯がメールを知らせる振動で我にかえった。
それじゃと挨拶を交わし歩きだす。
携帯を広げてメールを確認した。
《今どこ?もうすぐバイト時間だよ》
まどか からのメールだ。
時間を確認するとバイトの入り時間まで10分を切っていた。
ヤバい遅刻してしまう。
僕は走り出した。
大学に近いという理由で選んだが意外と気に入っている。
枕の振動で目が覚める。
今日は午後から講義がある。
午前中はバイトだ。
ファミレスの厨房で働いてる。
急いで支度をし、家を出た。
今日は天気がいい。
春も過ぎそろそろ梅雨になるだろうと思う。
朝から講義がある時や、バイトの時、夕方など杖をつきながら歩く女の子を時々見かける。
一目で視覚障がい者だとわかる。
気にならないことはない。
それが障害者だからという理由だけではない。
ただ、気になる。
きっと単純にタイプなんだと思う。
彼女は背中まですらっと伸びた黒髪が綺麗でいつも風になびいている。
たまに友達と一緒にいるところを見るが笑顔がとても魅力的だった。
声をかけて始めたいと思うけれど、僕には声がない。
声があればと、これほど強く思ったことがない。
ふと交差点で信号待ちをしている君を見つけた。
彼女の後ろから数人の男女が話しながら、彼女に近付いていく。
一番前を歩いてる女の子は後ろを見ながら話しに夢中で前方を見ずに歩いてる。
『あっ危ない!』
そう思った瞬間、僕の体が動いた。
その女の子は彼女にぶつかると、その反動で彼女が道路に押し出された。
僕は咄嗟に彼女の腕を掴んだ。
勢いよく引っ張ってしまった彼女は僕の腕の中にいる。
ヤバい…心臓がバクバク音を立てている。
離れた彼女はごめんなさいと言った。
伝えなくては…。
僕は彼女の手を取り、手のひらに文字を書いた。
伝わらなかったのだろう、もう一度と言われ今度はゆっくりと書く。
彼女は僕の事を理解したのか、少し慌てた。
くちびるが読めると伝えると彼女はありがとうと言った。
あの笑顔が今僕に向けられている。
時間が止まってる気がした。
ポケットの中で携帯がメールを知らせる振動で我にかえった。
それじゃと挨拶を交わし歩きだす。
携帯を広げてメールを確認した。
《今どこ?もうすぐバイト時間だよ》
まどか からのメールだ。
時間を確認するとバイトの入り時間まで10分を切っていた。
ヤバい遅刻してしまう。
僕は走り出した。