ハコイリムスメ。
んなアホな。

「気のせいだろ」
「気のせいじゃないもん!!…美佐、かなしかった…」

俯く。

「あー…」

ゴメン、と言いかけて、はた、と口を閉じた。

え、謝るの?
なんで?
ニヤニヤした覚えないのに?

だけど美佐が俯いてるせいでいくつもの目が俺たちを見ていた。
中には睨みを効かせてくるヤローも混じっていて、今度夜に見掛けたらケンカを仕掛けてやると誓った。

とりあえず、この状況を打破しないと。

「ニヤニヤなんか、してねーよ」


俺が顔をしかめながらそう言うと、美佐が顔をあげて、つまらなそうに俺を見た。

「…今、」
「へ?」
「今謝ったら認めたってことでビンタしようと思ってたのに!!」

そう言って、今度は笑う。

「お前なぁ…」
「あ、ほらほら、始まっちゃう!行こ!!」
「………」

何を言ってもダメだと悟った俺は、大人しくついていった。




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