ハコイリムスメ。
今晩のメニューは、肉じゃがとシシャモ焼いたやつ。

肉じゃがは、自分で言うのもなんだけど、プロ。間違いなく、金とれる。


「お前さ、料理できるの凄いよなー。超意外だった」

「さりげなく1人暮らし歴長いからな…よっし、完成。手ー洗ってきてー」

「へいへい」

「はーい」


2人が洗面所に向かう。
俺は葵の背中に、爪の間も洗うんだぞーって声をかけた。

うん!!と元気な返事。

テーブルに3人分の用意。旨そうな匂いが立ち込める。

腹へった…












「ごちそーさま」

「早食いやめろよー。体に悪いんだぜ」


食器をシンクに下げ始めたサトに不満を漏らす。
そんな俺にサトは笑って言う。


「早くねぇし。つか、俺今日はもう帰るわ」

「マジで?なんか用事あるのか?」


まだ箸がうまく持てない葵に、やり方を説明していた手を止めた。
すると葵は、また勝手に俺の手で遊びはじめる。


「いや…今日じゃなくて。明日バイト早いからさ」

「気をつけて帰れよー」

「こんだけ駅が近けりゃ、気を付けなくてもなんともないし」


親友はボストンにマンガやら雑誌やらを投げ入れて、肩に背負った。


「じゃな」

「おう。今日、マジでサンキューな」

「タダ飯食えるから別に。ばいばい葵ちゃん」

「ばいばいサトくん」


もう一度俺を見て、ふ、と笑った。

変なヤツ。俺はわけもわからず首をかしげてた。


「また来るわ」

「おー」





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