ハコイリムスメ。
ドアが閉まるとほぼ同時に、メール。リビングから受信音がした。

「誰だろ」

背中にしがみついて離れない葵を引きずってリビングに戻り、待受をチェック。

サトからだった。

「………あん?」

なんだぁ?アイツ。


葵はいつのまにか離れて、部屋でガタガタやっていた。
何してんだか。

「口で言えよ口で…」

カチカチカチ。
受信メールを開くと、葵ちゃん襲うなよ~と、小馬鹿にしたような文章がひとつだけ。俺はがっくりと肩を落として、フローリングに直に座り込んだ。



しねーよ!








「ちとせくん、ちとせくん」

いつの間にか隣に座っていた少女が、ニコニコしながら俺に見て、と何やら重いものを渡してきた。


「へっ?………ああ、何、何」

それは真新しい、かなり厚いスケッチブックだった。
どこから出してきたんだろう。

早く早くと急かされて、開くと。



「すっげ……」



鮮やかな黄色の大輪が目に飛び込んできた。

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