ハコイリムスメ。

「あなたが不安に思ったり、嫌に思ったりするとね、たぶん感じ取っちゃうから…」
「誰が？」
「葵ちゃんに決まってるでしょ!!バカね」
「って!!!」

デコピンされた。
痛い。

「あと、スーパーに買い物は良く行くぜ？夕飯の買い出しー」
「………葵ちゃんの好きなものは？」
「ひまわり。黄色のもの…オムライスとか、グレープフルーツとか、そんなの。…例外で苺」
「苦手なものは？」
「あー、夜、１人で寝るの怖いみたいでさ…それから、暗闇」

そんな些細な質問１つ１つに、難なく答えた。
さっちゃんは質問が終わると、俺を見つめながら満足げに笑った。

「ちとせは、すごく偉いよ」
「はぁ？何だよ気持ちわる…ガは!!」

みなまでいう前に、強烈なボディーブロー。
危うく急所に入るとこだった。


「気持ちわる………？」
「な、んでもないっス…」
「もー…」

さっちゃんはそう呟いたあと、もう一度、ちとせは、すごく偉いよと言った。

「何が？」

今度は殴られちゃ怖いので、びくびくと答えた。

「………見ず知らずの女の子、拾ってここまで親代わりを勤められてる。ホント偉いよ」


ニコと珍しく穏やかに、さっちゃんが笑った。



サトにも同じようなことを言われたんだと思いだしながら、考える。



親代わり、かぁ………

うーん………