ハコイリムスメ。
「や…や………!!」
「うるせー」

嫌がり続ける少女を、エレベーターに引きずり込んだ。
途端にしゃがみこんで、小さな声でうめきだす。


知るか。


35階まで、20秒もかからない。
静かなエレベーターの中で、耳に届くのは少女の苦しそうな声。


どうせそれも演技だろ?
どこまでバカにすれば気が済む?



頭に熱が上っているせいで短絡的になった思考回路。
深く考えることをやめた俺は、一方的にイライラして、エレベーターの壁をバン!とこぶしで殴った。

少し落ち着いた方がよかったのかもしれない。
もし、俺がもうちょっと賢かったら気づいたんだろう、きっと。単細胞な俺は、いろんなイライラを彼女に向けようとしていた。






何も悪くなかったのに。







セキュリティバッチリの防音ドアを開け、入れ、と乱暴に中に入れさせた。

不思議なことに、少女の震えは止まっていた。




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