ハコイリムスメ。
街頭しょぼいんだよ!!
ほとんど真っ暗じゃねえか、バカ野郎!!

おかげで、おかげさまで、サトの顔が見えない。
ほとんど。

そりゃあ多少は見えるけど、暗い。





「…と、いうわけなんですが。…すみませんね、騒がしくて」

「………」



黙ってねえで、何とか言ったらどうなんだ。

黙ってるってことは、やっぱり…とか、いくら俺がバカだからって、考えるんだぞ、そういうこと!



「あはは…はは、なんかごめん。や、美佐がさ、言ったんだよね。でも、あれかな。あいつあれで悪知恵働くっつうか、どうせ俺の後たまたま追ってみたら家はっけーん、で、それでさ、『ばれちゃったら怒られるかも、きゃは』って、うん、それで」

「ちとせ、」


俺は悟る。

気づいた。

だけど、聞こえないふりをした。



言いたいことなんか、サトの声で、わかる。

親友の声の調子、それだけで、顔なんか見えなくてもばっちり。

頼む、その先は言わないでくれ。




< 204 / 465 >

この作品をシェア

pagetop