ハコイリムスメ。
「なんで、だよ」
「え?」
「理由によっちゃ、水に流す…からさ」
水に流す、なんて上から目線でものを言う。
それ自体が大きな間違い。
水に流させて下さい、土下座。
「言ったら、お前俺を殴るよきっと」
「殴らない」
「嘘だね」
「嘘じゃねえ」
押し問答を繰り返して数分。
サトが疲れたように言った。
「なんつーの?……ああ、こういえばわかる?俺、葵ちゃんのこと結構好きだから?」
───はい?
「今なんつった?」
サトはため息交じりに言う。
「2度も言うかよ」
お前、本当にサトなわけ?
どうしよう、影武者?
「…んで、ここに葵が出てくんだよ」