ハコイリムスメ。
ふん、今さらなんだってんだ。
こっちはぶちギレ寸前なんだから。




細い手首をつかんで寝室に連れ込む。月明かりだけの、薄暗さ。
きれいに整えられたベッドに押し倒した。


怯えた目で俺を見る。
身体中、ガタガタ震え始めていた。



──さっきまで止まっていたのに。
なんだってんだ?



震えて、顔面は蒼白。
それなのに、暴れない。



何だか違和感がある。まあ別に良いけど。



白いワンピースは背中がファスナーで、あっさり脱げた。

そのとき、一瞬月が雲に隠れた。
部屋が真っ暗になり、窓の外を見た。

「…月か………」

雲から月が再び顔を出した。
薄明かりが部屋を満たす。




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