ハコイリムスメ。
「何だよ…これ」
「………う」

尋ねても、小さな声でうめくだけ。



見てはいけないものを見てしまったようで、さすがに俺もかなり動揺した。



泣きそうな目。
震えている細い肩。

今にも、壊れそうな女の子。



え?え?
俺、え?





ちょっと待て、俺……、叩いてないですよね!?


ということは。

俺は混乱しながらも何とか深呼吸して気持ちを落ち着かせる。




この傷は、俺がやったんじゃない。

だったら、誰が?

なんで、見えないところにばっかり?



めまいがした。
というか、それで急に我に返った。


確かに傷をつけてはいない。
だけど、俺が今やろうとしていたことは?

彼女を傷つけるのとなんら変わりないじゃないか。


どうしよう、やめなきゃ。



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