ハコイリムスメ。
「…あ、」
「…おう」

まだ高い太陽の光が差し込む教室の中にサトが1人、自分の席に座ってぼんやり黒板を見ていた。

「…何してんだ」
「…別に…関係ないだろ」

そうだよな。
関係なんか、ねえよ。



何も言わずに、カバンを荒々しく引っ掴むと教室を出た。







ちくしょう。
ちくしょう、ちくしょうちくしょう。

何が悔しい?

悔しいのは、言いたいことさえ満足に伝えたれない自分。

このイラつきの矛先は、他でもない自分自身。






バカみたいに、つまりちょうど小学生の徒競争みたいに無我夢中で廊下を走り、何人かの先生に廊下は走るな!とどやされた。

止まらない。

落ちるように階段を駆け降りる。

「ってえ!おい、気をつけろ!」
「…ごめん」



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