ハコイリムスメ。
泣きたかった。
なのに、涙が出なかった。

びっくりしたことが大きすぎて、悲しい前に、どうしたらいいんだろう、ばかりが頭の中を埋め尽くした。


しばらく立ち尽くした後、じいちゃんが生前俺に言っていたことを思い出したんだ。

(「わしが死んだら、皐月ちゃんを頼るんだぞ」)

って。

あのとき俺は、バカなこと言うなよ!!って怒った気がする。

こんなにすぐに、現実になっちまうなんて。

それで、さっちゃんに電話をして、後のことはよく覚えてない。










俺はまたこの部屋で、動揺して、どうしたらいいのかさえ分からない。



あの日以来だ。


違うのは、あのときと違って誰からの助言も受けてないってこと。
さっちゃんを頼ることなんてできない。
自分でどうにかしなくちゃいけないってこと。


答えが見つからない分、慌てる気持ちは今回の方が勝っていた。



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