ハコイリムスメ。
ところが。



「ち、とせ…さん!!」



俺を呼ぶ、途切れ気味の声。
振り返ると、人と人との間を縫うようにトオルが1人でこちらに向かって走ってくる。

なんだなんだぁ?そう思って見ていたら、ガラの悪い感じのカップルに衝突。
ペコペコ頭を下げて謝っている。

「…何やってんだ…アイツ………」

俺はため息を1つついてから、トオルの方へ小走りに移動した。




「腕痛ぇー。どうしてくれんだ、なぁ?」

比較的すぐに、お決まりのセリフが耳に届いた。

「大丈夫ーのぶくん~」
「痛ぇ痛ぇ~」

胡散臭い、ってか演技下手!!

「す、すみません………」
「謝って済むんな「警察はいらねぇよな、ハイハイ」
「ち、ちとせさん~…」

トオルは俺の後ろに隠れた。オイオイ、俺は盾かよ。
決め台詞らしい部分を横取りした俺を、思い切り睨み付けてくる男。
俺は思いっ切り友好的微笑みを浮かべて、

「あーすみませんね、ボクの連れが」

と言った。


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