ハコイリムスメ。

『あの日』、美佐に俺の家がバレた日、葵と2人でお好み焼きの材料を買いに寄ったスーパーに来た。
クーラーが効いていて、少し寒い。

まっすぐアイス売り場に行き、イチゴシャーベットとバニラアイスを手に取った。
体温の高い俺には、冷たすぎる温度。






レジに並んだら、前の人が順番を譲ってくれた。

「あなたの方が買うもの少ないものね、お先にどうぞ」
「あ、すみません…ありがとうございます」

会釈をして、前に行く。


「こんばんはー、お預かりします」

茶髪の店員が、アイス2つをバーコードの機械の上に通す。

「お会計210円になります」

にこ、と笑う店員。
望月に女装させたらこうなるんじゃないかと想像させられる。

俺は1000円札を手渡した。

「1000円からでよろしいでしょうか?」
「あー…あ、はい」

財布を探ると10円玉が見つかったので、それも渡す。

「1010円お預かりします」

レジに入力し、それから自動に出てきたお釣800円とレシートを差し出す。

「800円とレシートのお返しになります、ありがとうございましたー」



レジを抜け、スーパーの自動のガラス扉を抜けた。そのとたん、むあっとした暑苦しい空気が俺を包む。

少しだけ歩く速度を早めて、マンションに向かった。



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