ハコイリムスメ。
ただの言葉の羅列を何回繰り返したのだろう。

気付けば震えはまた止まっていた。


抱きしめていた力を少しだけ緩めて、腕は背中にまわしたままにして少しだけ上半身を離す。


少女は大きな目をぱちくりさせて、俺を見た。


それから、初めてまともな単語を発した。






「叩かないの」







と、たった一言。




震えた声。







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