ハコイリムスメ。
「あ!スーパーカップじゃないー懐かしい!あ、ほらこれよろしく!」

さっちゃんは俺のバニラアイスを見つけると、持って来ていた紙袋を俺に押し付けてから、「もらっていい?」と綺麗な(そして黒い)笑顔を見せた。

逆らう気力もうせて、俺は渡されたそうめんを茹でようと台所に立った。



さっちゃんの真意が見えなくて戸惑うけれど、仕方ない。
昔から一度言い出したらきかない人なんだ。

「薬味はネギとーあと錦糸卵と、梅干しー」
「はいはい!」

ガッシャンガシャンと大きな音を立てながら鍋を探す。少しでもこのイライラがあの人に伝わればいいと思う。

「さっちゃんさっちゃん、見てー」
「なーに?…わあ、上手ねー!」
「今日描いたばっかりなんだよ!さっちゃんが一番に見たの」

…新作?
へー、さっちゃんが一番か。

イライラする。
何が?わかんないけど。



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