ハコイリムスメ。

「もう！黙って聞いてなさいよ！話がぜんっぜん前に進まないじゃないのよ！」
「あ、ハイ」
「今度そういう細かいことでツッコミ入れたら、話すのやめるから」
「わーったよ」



気に入らなそうにぶずっと答えるちとせを見て、やっぱりガキのままだと心底思う。

あーあ、さっきの感動を返してほしい。

「『渡里と一緒にいる時の顔と、葵ちゃんと一緒にいるときの顔、が、違うんです。

後者の方が、…言えば、昔のちとせに近いんです』……昔のちとせっていつ、そう訊こうとしたら、『ちとせが、一人暮らしになる前』って。

アンタ最近荒れてたの？」


「…喋っていいの？」

「早く答えろ！」

「紛らわしいんだよさっちゃんは！話すなって言ってみたり、早く話せって言ってみたり！」

「それくらい状況で判断しなさいよ！」

怒鳴り合ってるようで、実はお互い小声。