ハコイリムスメ。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。

これはどうやら本当のことのようで。
はじめて気づいた奴に俺は尊敬の念を抱いたりしながらも、じゃあそろそろ帰るかなと立ち上がった。

「ええ!!マジっすか!?つまんねー」

ぶーぶー文句を言うトオルの頭をバシッとサトがはたいた。「痛えなあバカ兄貴!」と、トオルが不服の声を漏らす。

「そういやあ…葵ちゃんは?」

それをまるで無視しながら、サトが俺に問うので、

「さっちゃんが家に来てるから」

と答えた。
それから、サトにあるものを渡す。



「あ…これ」
「おうよ」



俺の家の鍵。
友情の証、信頼の気持ち。

これで、元通りになるんだ。






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