ハコイリムスメ。
「デザートは食後にお持ちしますね」
「あ、ありがとうございます」
愛想良く笑って、離れていく。
ちとせくん、もう食べていい?と葵が訊くので、あ、うんもちろんと返事をした。
「やったあ!レイコちゃん、食べよー」
「うん、食べよっか葵ちゃん」
2人は同じようなタイミングで「いただきます」と言った後、同じものを同じようなスピードで食べはじめた。
俺はピザが来るまでのんびりとグラタンを食べた。
なすとミートソースのグラタンはとてもおいしくて、今度家でも作れないかなとすぐに『主夫』のような考えを浮かべてしまい、苦笑。
俺がピザも食べ終わる頃、花田レイコも食べ終わった。葵はもー食べられない…と、俺にドリアの皿をよこしてきた。
…もったいないので、俺が食べてみる。マカロニがおいしい。
「失礼します、こちらお下げしてよろしいでしょうか?」
「あ、お願いします」
「デザート今お持ちしますので」
にっこりと笑う、店長らしきウェイターの格好をした店員。
ドリアを残したのに、パフェなんか食べられるのか?
「おいしそー!」
「…残しても、俺食べないからね」
「残さないもん!」
…別腹?
やれやれ、葵もやっぱり女の子。
「あ、花田…さんは、なんか食べないの」
ぼんやりと窓の外を見ていた花田レイコが気になって、話しかけてみた。
「え?」
「俺おごるから、なんか食えば?」
「……」
「アイスクリームとかー…あ、ミルクレープうまそー食いてー」
おっと、何考えてんだ俺は。
「あのね、」
「うん?なに?パフェのがいい?」
彼女はちがうの、と首を振った。
「谷神くんに、お願いがあるの」
「?お願い…って、なに?」
「私と、友達になってくれないかな?」