ハコイリムスメ。
「へ？」

俺の口からアホ丸出しの声が漏れた。

花田レイコははっとして両手で口を覆うと、顔を真っ赤にして私なに言ってるんだろう！と泣きそうになって呟いた。

「え、あ…、冗談？」
「う、ううん…あの、冗談では、ない…んだけ、ど」
「…友達って、俺と」

…いや、別に良いけど、

なんで？



「……私、実は男の子の友達っていたことないの」

花田レイコはか細い声で話し始めた。
葵はパフェに夢中なのかあまりこちらを気にしていないようだった。

「正確には、…男の子って、怖いっていうか…苦手で」

「…怖い？」

「怖い原因になった出来事のこと、私は…よく覚えてないんだけどね。
気になって、最近…私のお母さんに聞いたの。
お母さんが言うには、私小学生のころクラスの男の子たちにいじめられてたんだって」

「え」

花田レイコは俺の顔を見て少しだけ笑った。

「幸い、女の子たちは私をかばってくれてたらしいんだけど…それでも、そのことがきっかけで…っていうか、よっぽどショックが強かったのかな。小学生の前後の記憶はちゃんとあるのに、そこだけぽっかりと記憶が抜けてるの」

花田レイコはコンコン、とノックをするかのように自分の頭を軽く拳で叩いた。
俺は驚き過ぎて、言葉が出ない。


うそだろ。





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