ハコイリムスメ。
「作ってるあいだ、シャワー浴びちゃって。着替え貸すから」
卵を溶きながら、部屋の隅に声をかける。
「………うん」
「!!」
驚いて振り向くと、少女はもっと驚いた顔をした。
でも、俺にしてみれば、初めてマトモに会話をした瞬間だったのだ。
だって、返事なんか返ってこないと思ってたのに。
「じゃ、どーぞ」
返事はなかった。
出来上がったプレーンオムレツと、サラダをガラステーブルに2つずつ並べた。トーストは俺が3枚、彼女には2枚。
イチゴジャムとマーガリンも出しておいた。
「…ん、まぁ上出」
そのとき、風呂場からガタンッ!!と音が聞こえた。
キャー!!って、悲鳴も。