ハコイリムスメ。
うまく言葉にできやしない。
こういうとき、他のやつらはなんて言ってる?
俺は今まで、なんて言ってきた?
別れようって、言うとき、どうしてきた?
記憶を探るが、思い出せない。
それに、事情が特殊だ。
「とにかく、美佐は悪くないんだ」
「じゃあ…なんで?ちゃ、んと…説明してよ………なん、て、訊くほど、美佐、野暮じゃない、つも、りなのに…」
声が消えていく。
すすり泣く声だけが聞こえた。
俺の目には、しばらく何も映らなくなった。
結局、俺には何もできなかった。
美佐を抱きしめて慰めることも、詳しいことをうまく説明することも。
何をしても、もう、どうにもならないんだと…ぼんやりと、他人ごとのように思った。