ハコイリムスメ。
わかってる。
俺は、甘えているだけ。



美佐は俺の何倍も強くて、言い表せないくらい、すげえ奴だった。






ただし、もっと「すげえ」のはそのあとだった。


すっかりケロリとした様子になった美佐は、まず『…やっぱり未練あるから、最後にキスしよう』と言い出した。


それはいかがなものかと思うと俺が眉をしかめたら、『軽く!軽くでいいから!「サヨナラ!」程度のあいさつでいいから!アメリカ人になったつもりで、ね!お願い!』と、俺の腕を引いた。




俺はどう頑張ってもアメリカ人にはなれないけれど、1秒間だけエセアメリカンになって、最後のキスをした。





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