ハコイリムスメ。
『よかったらお昼ごはんを一緒にいかがかしら、りなもそうしたがってるみたいだし…迷惑じゃなかったら』
俺と葵はその申し出をうれしく思って、だからりなちゃん家族のお昼ごはんにお邪魔した。
俺たちは今更ながら名乗りあい、りなちゃんは「西門里奈です!」とハキハキと俺に言った。
西門さん一家は今日、親子とおじいさんと一緒に公園に来ているらしい。
俺も簡単な弁当を作って持ってきていたので、それも出させてもらった。
「おいしそー!」
りなちゃんは俺が出した弁当をキラキラとした目で見つめた。
横で葵も、同じように目をキラキラさせている。
「ちとせくんこれ、いつ作ったの!?」
「え?朝ご飯作るついでに」
「すごーい!」
「あら、谷神くんお料理できるの?すごいわねえ。お父さんにも見習ってほしいわ」
「ははは、まいったなあ」
家族がいたら、こんな感じなのかなあと俺はぼんやり思った。
「パパー、おじいちゃんは?」
里奈ちゃんがふいに立ちあがって、きょろきょろとあたりを見回した。
「あれ?おかしいなぁ……」
りなちゃんのお父さんはあたりを見回した後、ああ、いたいた、父さん!と、少し大きな声で「おじいちゃん」らしき人に呼びかけた。