ハコイリムスメ。
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会場に着くと俺は礼次郎さんとサトに葵のことを頼んで、1人で緑ヶ丘3丁目のあの家に向かった。
向かいながら思った。
最初に会った夜は、言葉すら話せなかった。
自分ひとりじゃ何も分からなくて、ただ闇に脅えていた。
それがいつの間にか、
自分1人で歩いて、自分で考えて、自分で決めて、好きなことをして、笑って、俺の名前を呼ぶんだ。
葵はきっともう、1人で大丈夫。
ようやく、この一瞬が、周りの世界や環境が、葵のものになったんだ。
葵の世界を形作るために、機能するようになったんだ。
それなら、葵。
俺はお前のためにしてやれるあといくつかのことを、お前のためにそして俺のために、精一杯やるよ。