ハコイリムスメ。
[あの人は、千晶さんと小夏姉さんに真央の存在が知られたと気づいたの。そしてあの日、話をしに来た2人に襲い掛かった]
彼女の文字は次第に判別不能なほどに歪んだ。それでも俺は、前後関係から必死に文字を拾う。
知らなかった真実を知るために。
葵の過去、そしてそれに通じる俺自身の過去。
[ゴルフクラブで何度も何度も頭を殴り付けられた千晶さんは私たちが必死で割って入った時にはもう……]
そして姉の方は精神が崩壊してしまった、らしい。
俺はすでに生まれていた。葵が5ヶ月の当時俺は3歳、なにも知らないで、父親方のじいちゃんとばあちゃんのところにいたわけだ。
もっともじいちゃんとばあちゃんは真実を知っていたのかもしれない。
「もし俺たちになにかあったらその時はこの子を頼むよ」、そういうことを伝えていたと考えるのは自然だ。